商標権のトラブルを避けるには 2
商標登録について
商標調査の結果、問題のある商標がない場合、商標登録出願をすることをお勧めします。
確かに、商標登録出願を行うには、費用も時間もかかります。 しかし、侵害のトラブルが発生した場合の損害はその費用をはるかに上回るものであり、企業経営にも大きな損害を与えるものとなりますので、その点を十分理解した上で出願の検討をされることをお勧めします。
また、商標登録を得ることにより、以下のメリットがございます。
商標登録をするメリット
長年使用していたブランド等を安心していつまでも使用することが出来ます
- 商標権は、独占的に使用できる権利であるため、他者が似たような商標登録を受けていたとしても、商標権が存続する限りは文句を言われることはありません。
また、この商標権は、更新することにより半永久的に権利を継続させることができるため、一度登録を受けてしまえば、いつまでも誰からも文句を言われる事なく、自由にそのブランドを使用し続けることができます。
ニセモノを強力に排除することが出来ます
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商標権は、独占排他的効力を有する権利です。つまり、権原なくその権利範囲において商標を使用した者を排除することができます。
ここで排除できる商標は、権利を取得した範囲のみならず、その類似範囲にも及びます。また、その商標を使用していた者が商標登録されていたことを知らなかったとしても、営業的に全く異なる地域で使用していたとしても排除することができます。
例えば、北海道で商売をしているラーメン屋さんが商標を取得した場合、たまたま似たような名称を使用している沖縄県のラーメン屋さんの名称を商標権侵害により排除することもできます。
商標権を売ったり貸したりすることが出来ます
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商標権は法律上、土地や建物と同じく「財産権」という権利に属し、商標権を他人に譲渡(売買)したり、使用許諾(貸与)することが自由にできます。また、権利を分割して権利の一部を売ったり貸したりすることもできます。
そのため、マンションのオーナーのように他者にその商標の使用をさせることで、自分では使用することなくライセンス契約による使用収入を得ることもできます。また、フランチャイズ契約を行うに際して商標のライセンス契約を合わせて締結することにより、登録商標の使用料も上乗せして請求することもできます。
登録出願できる商標は?
商標法では、商標について「文字,図形,記号,立体的形状またはこれらの組み合わせまたはこれらと色彩の組み合わせ」とあり、次のようなものが対象となっております(商標法第2条)。
種類 | 登録商標 | 権利者 |
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文字商標 | ヤクルト | ヤクルト(株)ヤクルト本社 (第1252231号) |
図形商標 | ヤマトホールディングス(株) (第3085606号) |
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記号商標 | 武田薬品工業(株) (第54111号) |
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結合商標 | ナイキ インコ-ポレ-テツド (第1517133号) |
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立体商標 | (株)不二家 (第4157614号) |
出願する商標については、既にロゴができている場合は、そのロゴと同じ形態(図形、記号、結合、立体のいずれかの形態)により、出願することをお勧めします。
また、ロゴの色彩については、原則としてカラーバリエーションがある場合とない場合とを考慮して出願する事をお勧めします。
ロゴが未だ決まっておらず、ネーミングのみ決定しているような場合は、先願主義(早い者勝ちの原則)を考慮して、先ず文字商標として出願しておくことをお勧めします。その上でロゴが決まった段階でそのロゴについても出願を行うかについて検討をおこなうことをお勧めします。
既にロゴが決まっている場合
- カラーバリエーションがない場合→そのままの態様で出願
- カラーバリエーションがある場合→色調が無い白黒の態様で出願
ネーミングのみが決まっている場合
- 先ず文字商標で出願、ロゴができた段階でロゴについての出願を再検討
出願に際し、決めることは?
出願に際しては、商号登記が定款を記載しなければならないのと同様に、商標も使用予定となる商品又は役務(サービス)の範囲を指定する必要があります。
また、商品又は役務(サービス)は、34分類からなる商品と12分類からなるサービス(役務)の計45分類に区分けされております。
そして、出願登録時に発生する費用もその区分ごとに加算されるため、商品又は役務(サービス)を検討することは商標にかけるコストを考える上でも重要となります。
区分については「商品・サービス分類表」をご参照下さい。
また、詳細な分類表は特許庁のホームページにて掲載しております。
出願に際して必要な事項
- 出願する商標の特定
- 使用を予定する商品・サービスの範囲の特定
なお、指定商品・役務の例、各区分に該当する商品・役務の例については、前述の「特許情報プラットフォーム」(J-Plat Pat)で検索することができます。
出願から登録までにかかる期間
おおむね、6~12ヶ月程度かかります。
なお、一定の条件を満たす場合は、申請により3ヶ月程度で登録する制度もございますので(早期審査)早急な登録を必要とする場合は、弊所までお問い合わせ下さい。